2012年8月24日金曜日

『参加型社会・官民の連携、協働のあり方を考えよう!~新しい公共とはどうあるべきなのか~』シンポジウム開催報告


 201288日(水)東京・永田町の星陵会館ホールで、一般社団法人環境ビジネスウィメン主催による政策シンポジウム「参加型社会・官民の連携、協働のあり方を考えよう!~新しい公共とはどうあるべきなのか~」を開催しました。

 


 来る10月に改正が完全施行される環境教育推進法には、官民協働の推進が重要なポイントとして盛り込まれ、震災復興についても官民協働での取組みが大変期待されています。  
 他方、官民協働を目指す現場では、民が官のサービス担う際の調達方法の問題や行政の会計制度の問題により、協働どころか官民関係の悪化さへ懸念されます。そこで、「まずは同じ場に立ち話し合う」べく、政治家・行政・企業・有識者をパネリストに迎えて議論の場として展開しました。
 
 
 環境ビジネスウィメン代表理事である崎田裕子氏による挨拶のあと、今回のシンポジウムのコーディネーター、環境ビジネスウィメン理事・事務局長であり株式会社エコエナジーラボ代表取締役である善養寺幸子氏からシンポジウムの趣旨説明でスタート。
 
 
 官民連携の推進について、「公共サービスを民が担うようになった今の時代における現状と課題とは」という投げかけのもと、環境省の宮澤俊輔氏による官民連携「協働」の推進について盛り込まれた環境教育等推進法の改正の説明、国土交通省の渋谷和久氏による「新しい公共」の考え方による地域づくりについて説明を頂きました。
 
 
 官民連携における現状の制度について共有したのち、公共サービスの担い手としての民から、「会計年度」や「調達方法」の課題について提示しました。
 
 「毎年度入札、しかも価格を下げて提示してくるため、雇用の安定もできないし賃金を下げざるを得ない。また電子入札という制度によって地元で仕事ができないという実態が起きている。そして最大の疑問点は、請け負った仕事を評価する担当と契約手続きの担当が別であるため、質の問われない公共サービスになっている。」環境ビジネスウィメン理事であり株式会社五十嵐紹介代表取締役の五十嵐和代氏からの具体的な課題提示には大いに頷く参加者とパネリストの姿も。
 
 
 
 
 また、環境ビジネスウィメン理事であり株式会社環境ビジネスエージェンシー代表取締役などを務める鈴木敦子氏から「総合評価の中身は質を問わない価格重視になっている。それによって悪かろう安かろうの業者が行政の仕事をとっていて全うな企業は仕事ができないという実態。さらには、行政サイドに仕事を評価する能力がないので、専門性のある企業や全うな企業は企画段階で協力するというタダ働き常態」と新しい公共・eco japan cupを進める現場を踏まえての課題が提示されました。
   
 
 
 その後、善養寺氏により、現在の官民関係が経済の視点からみても重大な課題「見えないコストを社会に発生させている」というプレゼンテーションがされました。
 
 その指摘について、経済学者・東京大学教授の武田晴人氏から、官民関係の歴史と入札制度の問題点について解説をいただきました。
 また、経済学者・大阪大学フェローの小野善康氏から、「現代の‘成熟社会’においても従来通りの政策手法を用いているようでは不都合が生じる」とご教示いただきました。
 
 
 
 さらに、震災復興事業における売り手市場の課題について議論を展開し、武田氏から「やり直しのきかない復興事業。協調的な枠組みの構築による事業の分配が必要不可欠である。」とご教示いただきました。
 
 
 
 
 
 
 
 行政・企業による現状の課題提供と有識者の解説を経て、官民連携をどうしていくべきか、政治家の方々にもご意見を頂戴しました。
 
 
 
 みんなの党の水野賢一議員「政策を民が提案する今の時代、官と民の連携において、情報公開と共有が一つの重要なファクターではないか。」
 
 
 
 旧山古志村の村長であった自由民主党の長島忠美議員「中越地震の復興の際、これからどういう町・どういう仕事を作ろうかと、行政と市民が集うプラットフォームを作った。行政はどうしても縦割りになってしまうが、プラットフォームがあることで、それぞれの立場を越えて官と民が連携することができた。」
 
 
 公明党の斉藤鉄夫議員「今日のシンポジウムは大変勉強になった。全国の地方議員から入札制度の問題についてよく意見を頂いており、肌身をもって現在の制度の課題を感じている。また、科学技術の会の幹事長としても、官と民の連携を図っていきたい。」
と、それぞれのご経験から語って頂くと同時に今後の期待を示していただきました。
 
 
 
 最後に、北海道ニセコ町元町長の民主党の逢坂誠二議員から「大事なことは、今日のシンポジウムのテーマである新しい公共あるいは官民の連携について、『何のためにやるのか』という原点を忘れてはならないと感じた。指定管理者制度について行政は勘違いをして安くできる手法だと思ってしまった。また、現在の入札制度では公共事業を展開するのは限界がある。行政は現在の制度にとらわれず、各地域で小さくてもよいから新しい取組みをしていくことが重要だ。」と自治体に22年間務められたご自身の経験から熱く語っていただきました。
 
 
 
 
 
 その後、それぞれのパネリストおよび会場からもご意見をいただき、活発なフリーディスカッションが展開されました。
 今回のシンポジウムで、様々な立場のパネリストが同席し、会場も交えて官民連携の課題を共有することができました。何より、参加型社会・新しい公共への第一歩として重要な契機になったでしょう。

 
 

<政策シンポジウム実施概要>

【開 催 日】 201288日(水)18:3020:30(受付開始18:00)

【実施場所】 星陵会館ホール(東京都千代田区永田町2-16-2

【主 催】 一般社団法人 環境ビジネスウィメン

【パネリスト】


○開会挨拶

崎田 裕子 

一般社団法人環境ビジネスウィメン代表理事

○政治家

逢坂 誠二 
   
衆議院議員 民主党 

民主党総括副幹事長、民主党政策調査会副会長
民主党新しい公共推進会議事務局長

斉藤 鉄夫 
   
衆議院議員 公明党

公明党幹事長代行、公明党税制調査会会長

長島 忠美 
   
衆議院議員 自由民主党 

新潟県中越地震発生時の旧山古志村の村長
超党派「全国災害ボランティア議員連盟」会長

水野 賢一 
   
参議院議員 みんなの党 

みんなの党幹事長代理

○行政

渋谷 和久 

国土交通省 総合政策局総務課長
「新しい公共」施策担当・国土計画局広域地方整備政策課 元課長

宮澤 俊輔 

環境省 総合環境政策局 環境教育推進室長

○有識者

小野 善康 

経済学者・大阪大学フェロー
著書『成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか』 (岩波書店)

武田 晴人 

経済学者・東京大学教授
著書『談合の経済学 日本的調整システムの歴史と論理』(集英社)

○企業

五十嵐 和代 

株式会社五十嵐商会代表取締役社長/
一般社団法人環境ビジネスウィメン理事

鈴木 敦子

株式会社環境ビジネスエージェンシー代表取締役/
認定NPO法人環境リレーションズ研究所理事長/
株式会社エコエナジーラボ取締役/一般社団法人環境ビジネスウィメン理事

○コーディネーター

善養寺 幸子

株式会社エコエナジーラボ代表取締役/
一般社団法人環境ビジネスウィメン理事・事務局長





 

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